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この製作方法は主に試作品の評価の為に3〜5個同じ物をコピーする為に行ったり、小ロット生産に向いています。 マスターモデルをシリコーンで型取りし、樹脂を流して成形する『注形』と言われている方法です。使用するシリコーンにもよりますが、樹脂の反応による発熱や炉(65度くらい)に入れて硬化させたりするので、シリコーン型へのダメージなどで透明レンズなどは8個、その他着色した物は15個くらい抜ければいいくらいです。 でも、マスターすればZに限らず他の車種のマーカーや、ある程度の物であれば何でも作れるようになるでしょう。 画像左上から信越のシリコーン、その硬化剤(付属)、撹拌用カップ、ステンレス製のヘラ、脱泡用容器、注型樹脂(クラフトレジン/国際ケミカル)、トナー、注射器(ハリなし)、信越製離型材、シリコーンオフ(本当はアセトンが良いです)、目盛り付きスポイト。すべて東急ハンズで購入できます。 |
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まず、純正マーカーを分解します。 接着材と溶着でくっ付いているようなので、カッターやヘラなどで少しずつ分解します。 注意点として、ネジ穴部も接着されています。下手に力をいれて分解しようとすると割れる可能性大です。ここは根気よく、もしくはマイナスドライバーなどで穴を大きく削ると接着面も小さくなるので比較的分解しやすくなります。 画像のようにきれいには分解できないので、バリなど取ります。ボディー部はレンズの残りを取り除きます。 ネジ止めの穴はセロハンテープで穴を塞ぎます。穴を塞がないと型から取り出せなくなります。まぁ、カッターで切ればOKですが...。 |
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次に、型枠を作ります。 画像の板のサイズは200mm×100mmが3個、200mm×50mmが3個で、板厚はt1.2mmです。ここでのポイントは梱包用の透明テープを板面に貼る事です。そうする事でシリコーンが板にくっ付く事なく型枠を分解できます。 シリコーンを入れた時に漏れないようにタッピングビス(4×25)を使いしっかりと隙間の無いように作製。また土台部は一応グルーで隙間をかるく埋めておきました。 純正のマーカーを型の中につるすために、写真のようにグルーを使ってかるく接着します。ちなみにマーカーとくっ付いている部分は、後で注射器で樹脂を流し込む湯口とエア抜き用の穴になるので、湯口はあまり細すぎたり、太すぎは×です。今回はアクリルのφ3の丸棒を使用。 |
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型枠ができたらシリコーンの出番です。 画像は信越のシリコーンで定番品です。型番はKE-12かKE-17。高いです...。主材は白、硬化剤は青ですが、まぜると「水色になるのかな?」と思ってたんだけど、ほとんど変色なし。 画像右の容器は、主材&硬化剤をまぜた後のシリコーンを脱泡するのに使用します。ホームセンターで\180くらい。蓋付きです。でも今回は1缶使うので容器は使いません。 今回レンズ左右の2型でのシリコーン使用量はちょうど1缶です。硬化剤を全部この缶へ入れて撹拌します。 |
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まぜたままで型に流してしまうと、気泡があるのでダメです。型をとる事はできますが、型をとった面や大きな気泡があると、樹脂を注入して硬化の際の発熱で、その温度で気泡が膨張し内圧が上がり、注型品にヘコミや歪みができます。 一般的(業務用)には真空ポンプで脱泡しますが、真空ポンプなんて普通の一般家庭にはないので、洗濯機の回転遠心力を利用して脱泡する事が出来ます。脱水時間は5〜6分くらい。 中でシリコーンが飛び散らない様に梱包テープで缶の蓋をしっかりとめ、容器をビニール袋に2重に包みます。画像のオレンジ色の物は毛布で、容器の暴れ防止とバランス取りに使用。 ちなみに洗濯機の中にシリコーンが飛び散ると、洗濯機は壊れるそうです...。理屈はわからんが...。 |
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さて、シリコーンを型枠へ流し込みます。 ここでワンポイントは、レンズのパターンがギザギザなので、気泡が残り上手く型取りできないので、先にシリコーンを型枠へ入れてからレンズをゆっくりと重力にまかせて沈めます。沈めたらマスターが動かないようにグルーで固定します。 |
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約8時間後、型割をします。同じ高さで型割りしたいので、カッターを消しゴムなのどの上に乗せて1周カットします。 シリコーン型はわりと上手くできました。青丸は気泡...。 脱泡はなかなか難しいっス。 型は下の画像のように、離型処理をします。信越の離型材です。吹きすぎは、注型品の面にムラができるので、マーカーの表面は注意。裏面は、複雑な形状なので、多少多めに。 |
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次に、注型する樹脂の出番です。 東急ハンズでは国際ケミカル扱いの「クラフトレジン」を購入できます。が、この樹脂は屋内で使用するぶんにはそれ程問題になりませんが、屋外で使用する場合は黄変を覚悟しなくてはなりません。使用環境によると思いますが、半年くらいで黄変してくるかと思います。そこで黄変をごまかすと言うか、見た目を防ぐのに極めて薄い青を着色するのが一般的となっています。トナーは万年筆の青インクがきれいです。 本当に少量です。1滴なんて量ではなく「チョコット」。 一般的に売られているクリアレンズを注意して見る機会があればチェックしてみて下さい。もし着色されていないようなら、それはインジェクション型でアクリル注形されたもので、アクリルであれば黄変しません。 またハンズで頼めるかはわかりませんが、「X-0799」と言う難黄変の物もあります。これもエポキシ樹脂です。 |
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さて樹脂を注入しましょう。 シリコーン型を型枠に戻します。 樹脂の発熱時の内圧を考えての事です。内圧が発生しても型枠のおかげで、樹脂が湯口から排出されます。シリコーン型が変型したまま硬化する心配がないです。 型を60度くらいに温めておきます。 樹脂の主材と硬化剤を混ぜます。理想はこれも脱泡します。 注射器を型にさします。この時ピストンは抜いておきます。樹脂を注射器に入れ、重力にまかせて樹脂を流します。「ピストンで押し流した方が早いじゃないか」と思われるかもしれませんが、レンズ部を思い出して下さい。真空槽なら問題ないのですが、レンズがギザギザになっているので、気泡が残りきれいな物ができません。また、自然に流していくことで、注射器内の樹脂の気泡が上部に上がり、一石二鳥? なので少しずつ...。 エア抜きの穴から樹脂が出てきたら全体に樹脂がまわっています。が、ここでピストンの出番です。これでも少しは気泡が残っているので強制的に気泡を追い出します。 |
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そうしたら、炉の温度65度くらいで1時間半。 炉は、「炉製作」を参考して下さい。もしくはオーブンでもできると思います。 |
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いよいよ脱型。画像のように完成ですv(^^)v。 あとは"キュア"と言う熱処理後(製品を安定させる処理)にバリ取りやネジ穴を開ければボディーと接着してリアサイドクリアマーカーの完成です。 脱型の注意点として、マーカーの表面の型は簡単に外せますが、裏側は接着面が複雑になっているので、値札シールを剥がすように、ゆっくり脱型していかないと型を壊します。 以上でリアサイドクリアマーカーの講座は終了です。 |